GMO熊谷正寿への批判、森岡毅も袋叩き。成功者の失敗がそんなに嬉しいか?、という話

サラリーマンの独り言

mutoです。

GMOインターネットグループの熊谷正寿氏に、株式会社刀の森岡毅氏。

いずれも実業界で大きな注目を集めてきた人物ですが、現在は厳しい批判にさらされています。

もちろん、批判される理由がないわけではありません。

ただ、ネット上の反応を見ていると、どうにも違和感があるのです。

失敗を批判しているというより、成功者が失敗したことを喜んでいるように見える。

「ほら見たことか」と。いやいや、ちょっと待ってくださいよ。

熊谷正寿さんって、一代でGMOという巨大企業グループを築き上げた人物ですよ。

私は、実業界の大谷翔平みたいな存在だと思っています。

そんな人物が失敗したからといって、それまでの功績まで否定してしまっていいのでしょうか。

GMO熊谷正寿氏はなぜ批判されているのか

まず、今回の問題を整理しておきます。

GMOグループでは不正アクセスによって顧客に被害が発生しました。

しかも、以前からグループ内でセキュリティ上の問題が指摘されていたにもかかわらず、十分な対策が取られていなかったとのこと。

これは決して軽い問題ではありません。

熊谷さん自身も2026年11月2日の記者会見で謝罪し、問題発生後のSNS投稿についても配慮が欠けていたと認めています。

顧客に実害が発生している以上、経営者として厳しく責任を問われるのは当然でしょう。

ただ、ここで考えたいのです。

今回の問題と、熊谷さんがこれまで成し遂げてきたことは、分けて評価すべきではないでしょうか。

熊谷さんは一代でGMOを築き上げ、インターネットインフラや金融、決済など、幅広い事業を展開する巨大企業グループに育てました。

今回の対応に問題があったとしても、その事実まで消えてしまうわけではないでしょう。

刀・森岡毅氏も苦戦。ジャングリア沖縄の赤字とイマーシブ・フォート東京の閉業

一方、株式会社刀の森岡毅さんについても、厳しい状況が続いています。

森岡さんは、USJでのマーケティング活動などを通じて、広く知られるようになった人物です。

ただし、USJの業績回復をどこまで森岡さん個人の功績として評価すべきかについては、さまざまな見方があるでしょう。

今回の記事では、そこを論じるつもりはありません。

注目したいのは、近年手掛けた事業の状況です。

イマーシブ・フォート東京は2026年2月に閉業。

さらに、鳴り物入りで開業したジャングリア沖縄も、芳しい状況とは言えないようです。

2025年7月の開業から1年間の来場者数は約95万6千人。

運営会社は初年度に約89億円の最終赤字を計上し、親会社に至っては約173億円の最終赤字です。

今後はコスト削減などの構造改革を進め、新たな出資者も探すとのこと。

少なくとも、当初の期待どおりに進んでいるとは言い難いでしょう。

ただ、現時点で苦戦していることは確かです。

だからこそ、経営戦略や投資判断については、厳しく検証されるべきでしょうがそれにしても昨今のニュースはなかなか容赦がないように見えるのです。

【関連記事】森岡毅さんとジャングリア沖縄について考えた過去記事

一代で巨大企業を築くことは、どれほど難しいのか

さて、話を熊谷さんに戻します。

企業を創業して大きくするというのは、とんでもなく難しいことです。

事業を考え、資金を集め、人を雇い、競争に勝ち続ける。

しかも、それを何十年も継続する。

景気後退もあれば、技術革新もあり、競合企業も次々に現れます。

熊谷さんは、そうした環境の中でGMOを巨大企業グループに育て上げました。

もちろん、本人一人の力ではありません。

優秀な従業員がいて、取引先がいて、投資家がいて、時代の追い風もあったでしょう。

しかし、多くの人の力を結集し、巨大な価値を生み出すことこそ、経営者の仕事ではないでしょうか。

その中心にいた人物が偉大でなくて、何なのでしょうか。

雇用を生み続けることは、最大級の社会貢献ではないか

私が特に不思議に思うのは、企業経営そのものが持つ社会貢献の価値が、あまり評価されていないように感じることです。

例えば、あるアスリートが1億円を寄付したとします。

素晴らしいことです。

ニュースにもなるでしょうし、多くの人が称賛するでしょう。

では、1,000人を雇用する企業を創業し、30年間経営してきた実業家はどうでしょうか。

仮に平均年収500万円とすれば、年間50億円。

30年間で1,500億円もの給与が支払われる計算です。

もちろん、給与は労働の対価ですから、これをそのまま寄付と比較することはできません。

しかし、それだけの雇用を生み出し、維持できる企業をつくったという事実は、もっと評価されていいはずです。

従業員には家族がいます。

子供がいて、住宅ローンがあり、日々の暮らしがあります。

企業が存続することで、そうした生活が支えられているわけです。

さらに取引先にも仕事が生まれ、従業員の消費が地域経済を支え、税金も納められる。

これほど大きな社会貢献があるでしょうか。

しかも、企業活動は継続します。

創業者が引退した後も、企業が存続する限り、社会に価値を提供し続けることができます。

寄付にも長期的な効果を生むものがありますし、寄付そのものを軽く見るつもりはありません。

それでも、私は思うのです。

富を分け与えることも立派ですが、富を生み出し続ける仕組みをつくることは、もっと評価されてもいいんじゃないですかね。

大谷翔平は称賛され、実業家は「金儲け」と言われる不思議

日本人はスポーツ選手が大好きです。

大谷翔平なんて、その象徴でしょう。

私も大好きですし、歴史的なアスリートだと思っています。

大谷翔平は野球で大成功し、莫大な報酬を得ています。

一方、熊谷正寿さんは企業経営で大成功し、莫大な富を築きました。

どちらも卓越した能力によって価値を生み、その対価を得ているわけです。

それなのに、実業家になると、途端に「金儲け」という言葉が出てくることがあります。

スポーツ選手が高額な報酬を得るのは夢がある話で、実業家が大金を稼ぐのは何となく胡散臭い。

そんな空気を感じることがあります。

もちろん、大谷翔平だって一人で成功したわけではありません。

野茂英雄がメジャーリーグへの道を切り開き、指導者やチームメート、球団の支援もあっての成功です。

しかし、それによって大谷翔平の偉大さが損なわれるわけではありませんよね。

企業経営だって同じでしょう。

スポーツで世界一になる人間と、一代で巨大企業を築き上げる人間。どちらも最大級の敬意を払われてよい存在だと思うのです。

トランプは6回の企業倒産を経験。それでも大統領になった

ここで思い出すのが、アメリカのドナルド・トランプです。

トランプが関係した企業は、過去に6回、米連邦破産法11条に基づく再建手続きを申請しています。

もちろん、本人が6回個人破産したという意味ではありません。

それでも、複数回の経営上の失敗を経験したことは事実です。

しかし、その後もビジネスを続け、ついにはアメリカ大統領にまでなりました。

なかなかすごい話です。

もちろん、アメリカでもトランプの倒産歴は批判されてきました。

アメリカ人が失敗に寛容だと単純に言うつもりはありません。

それでも、過去に大きな失敗を経験した人物が、再び大きな舞台に立つことができる。

この点には、考えさせられるものがあります。

日本ではどうでしょうか。

一度大きな失敗をすると、それまでの成功まで否定されてしまう。

今回の批判を見ていると、そんな傾向があるように感じます。

しかし、失敗しない経営者なんているのでしょうか。

何十年も経営していれば、判断を誤ることもあるでしょう。

むしろ、何も挑戦しなければ、大きな失敗もしないわけです。

失敗した経営者を片っ端から叩いていたら、最後に残るのは何もしない経営者ばかりになりませんかね。

成功者の失敗を喜ぶ社会でいいのか

今回の熊谷さんや森岡さんへの批判を見ていて、私が最も気になるのは、失敗を喜んでいるように見える反応です。

もちろん、熊谷さんの問題は顧客に実害が発生している以上、厳しく検証されるべきでしょう。

森岡さんの事業についても、投資判断や経営戦略が適切だったのか、検証されるべきです。

しかし、成功していた頃は持ち上げておいて、失敗した途端に手のひらを返す。

それどころか、過去の成功まで否定する。

これって、少々醜くないでしょうか。

成功者への嫉妬や反感は日本だけのものではありませんし、批判している人が全員そうだと言うつもりもありません。

ただ、私は日本社会には、成功した実業家に対してもう少し敬意があってもよいと思うのです。

熊谷正寿さんが一代でGMOを築き上げたという事実は、今回の問題で消えるものではありません。

企業をつくり、雇用を生み、社会を支えてきた。

それだけでも、十分に尊敬に値する仕事だと思います。

日本人は、もう少し実業家にリスペクトを持ってもいいんじゃないですかね。

失敗したら批判する。それは当然です。

でも、失敗した人間の功績まで消し去る必要はないでしょう。

ましてや、失敗した途端に寄ってたかって叩くなんて。

その人たちが生み出してきた雇用や豊かさを、私たちは当たり前のように享受しているのにね。

何とも皮肉な話です(笑)。

今日のところは、以上!

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