mutoです。
地方選挙が始まりました。
候補者を眺めていると、覆面レスラーがいるではありませんか。
しかも、リングネームでの立候補。
いやいや、ちょっと待ってくれと。
私はプロレスを30年以上見ています。覆面レスラーの文化も、その魅力も理解しているつもりです。
でも、それとこれとは話が別でしょう。
あなたが立とうとしているのは、リングではなく議会ですよ。

議員になりたいのか、プロレスラーでいたいのか
この流れを作ったのは、おそらく2003年に岩手県議会議員に当選したザ・グレート・サスケでしょう。

当時も覆面を脱ぐ、脱がないで議論になりましたが、結局、覆面姿での議員活動が認められました。
あれから20年以上。
いまだに覆面とリングネームで選挙に立候補する人がいる。
私には、どうにも理解できません。
プロレスラーとして活動を続けるのは結構です。
ただ、政治家として活動するのであれば、素顔と本名で勝負すればよいのではないでしょうか。
リングでは覆面をかぶる。議会では脱ぐ。
それだけの話です。
議員になりたいのか、覆面レスラーでいたいのか。
どちらもやりたいという気持ちは分かりますが、どちらの世界でも自分の流儀を押し通すのは、少々虫がよすぎませんかね。
あなたの会社に覆面の新入社員が来たら?
少し想像してみてください。
あなたが会社の人事担当者だったとします。
新卒採用の面接に、覆面をかぶった学生が現れました。

名前を尋ねると、「本名ではなく、芸名でお願いします」と言う。
どうでしょう。
私なら、まず不採用です。
いや、その前に覆面を脱いでもらうでしょうね。
ここで、ザ・グレート・サスケ氏に一つ聞いてみたい。
サスケ氏は、みちのくプロレスの社長を務めていた人物です。
まさか、ご自身の会社の採用面接で、覆面と芸名を名乗る応募者を門前払いしたりはしませんよね?
もちろん、レスラーの採用なら話は別です。
私が聞きたいのは、経理や総務といった裏方の社員の話です。
覆面をかぶり、芸名を名乗って面接に現れても、当然受け入れるのでしょうね。
ご自身が政治の世界で認められたことですから。
一度、聞いてみたいものです。
資格試験でも覆面は認められるのか
司法試験でも、公認会計士試験でも、一般的な資格試験では本人確認が求められます。
顔写真との照合が必要なら、マスクなどを外すよう求められることもあります。
当然でしょう。替え玉受験を防ぐためです。
では、議員はどうでしょう。
議員は住民の代表として、条例や予算について議決権を行使します。
その人物が本当に当選した本人なのか。
素顔が見えていれば、周囲の人間は日常的に本人を識別できます。
覆面では、それが難しくなる。
もちろん、別の方法で本人確認することはできるでしょう。
でも、そこまでして覆面を認める必要がありますかね。
資格試験の受験者には顔を見せるよう求めるのに、住民の代表には覆面を認める。
何とも不思議な話です。
何でも法律で禁止しなければならないのか
こういう話になると、必ず出てくる意見があります。
「法律で禁止されていないのだから問題ない」
「禁止するのであれば法整備が必要だ」
いや、そういう話をしているのではありません。
法律で禁止されていなければ、何をしてもよいのでしょうか。
何より、政治の世界に飛び込もうとする人間が、この程度の理屈で自らの行動を正当化すること自体が問題だと思うのです。
政治家には、法律を守るだけでなく、社会の規範を理解し、自らを律する姿勢が求められるはずです。
法律に書いていないから何をしてもよい。
そんな理屈がまかり通るのであれば、もはや何でもありです。
それは自由ではありません。ただのカオスです。
そして、その程度のことまで法律で規定しなければならないのであれば、何とも情けない話ではないでしょうか。
選挙に出る人間の適性は誰が判断するのか
少し話を広げます。
日本の選挙制度では、年齢や国籍などの条件を満たし、必要な手続きを踏めば、基本的に誰でも立候補できます。
学歴も資格も必要ありません。
政治についての筆記試験もありません。
民主主義なのですから、それ自体を否定するつもりはありません。
ただ、少し考えてしまいます。
会社に入るには面接がある。
資格を取得するには試験がある。
ところが、国や自治体の将来を左右する政治家になるために、能力を確認する試験はない。
選ぶのは有権者です。
だからこそ、立候補する側には自覚が必要ですし、有権者にも見極める目が求められるのでしょう。
知名度がある。
テレビに出ていた。
スポーツで活躍した。
覆面をかぶっていて目立つ。
それだけで票が集まるのであれば、政治家の資質とは何なのか、という話になってしまいます。
悪しき前例は、いつの間にか当たり前になる
私は、ザ・グレート・サスケが覆面姿で議員活動を始めたことは、あまり良い前例ではなかったと思っています。
一度認められれば、次からは「前例がある」という話になる。
そして、いつの間にか当たり前になっていく。
これは覆面レスラーに限った話ではありません。
社会には、最初は違和感があったはずなのに、前例を重ねることで疑問を持たれなくなることが少なくありません。
前例があることと、それが正しいことは、まったく別の話です。
最後に。政治はエンターテインメントではない
覆面姿で立候補することは本人の判断でしょう。
しかし、その人物を議員として選ぶのは、私たち有権者です。
もちろん、政策や実績を評価したうえで投票する人もいるでしょう。
それでも、知名度やキャラクターが投票の決め手になっているのであれば、何とも情けない話です。
政治家の質は、有権者の質を映す鏡なのかもしれません。
ちなみに、今回の覆面レスラー候補が街頭で握手をしている姿を、実際に見かけたことがあります。
せっかくなので、ここまで書いてきた疑問を直接ぶつけてみようかとも思ったのですが……。
やっぱりプロレスラーですね。
なんやかんや言って、ガタイがいい(笑)。
結局、何も聞けずに通り過ぎてしまいました。
政治家には素顔を見せろと言いながら、こちらは本人を前にして言いたいことも言えない。
いやはや、私も偉そうなことは言えませんね。
今日のところは、以上!


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