mutoです。
中村玉緒さんが亡くなったそうです。享年86歳。
私にとっての中村玉緒さんは、マロニーのCMや『さんまのからくりTV』でおなじみの人でした。

ただ、正直に言うと、私はあの頃の中村玉緒さんを見ていて、あまり面白いと思ったことがありません。
人を笑わせているというより、笑われているように見えたからです。
もちろん、それは私の勝手な受け取り方だったのでしょう。
実際には多くの視聴者に愛され、長く活躍されたのですから。
それでも当時の私は、何となく居心地の悪さを感じながらテレビを見ていました。
祖母が見ていた中村玉緒さん
ところが、私の祖母は私以上に複雑な思いを抱いていたようです。
テレビに中村玉緒さんが映るたび、
「あんなふざけたことをして……」と不満そうに呟いていました。
そして時折、「あんなに綺麗だった人なのに……」とも言っていました。
当時の私は、その意味がよく分かりませんでした。
私にとっての中村玉緒さんは、最初からバラエティ番組で活躍する人だったからです。
しかし大人になってから経歴を知り、祖母の言葉に納得しました。
中村玉緒さんは歌舞伎界の名門の出身であり、自身も映画女優として活躍した人でした。

夫は昭和を代表する大スター、勝新太郎さんです。
祖母が若かった頃は、まだテレビよりも映画の方が特別な存在だった時代でした。
祖母にとっての中村玉緒さんは、バラエティ番組で天然キャラとして親しまれる人ではなく、銀幕の向こうで輝くスターだったのでしょう。
だからこそ、あの姿を見るのがつらかったのかもしれません。
映画スターに憧れた時代
想像でしかありませんが、大正生まれだった祖母たちにとって、
映画館へ行くことは今の私たちが考える以上に特別な体験だったのではないでしょうか。
お気に入りの服を着て街へ出かけ、大きなスクリーンに映るスターを見つめる。
今のようにスマートフォンで好きな映像をいつでも見られる時代ではありません。
だからこそ、映画スターは憧れの存在だったのでしょう。
祖母はそんな時代を生きた人でした。
若い頃に夢中になったスターには、やはりいつまでもスターでいてほしい。
祖母の言葉の端々からは、そんな思いが感じられました。

銀幕のスターだった証
若い頃に憧れたスターの姿を、何十年経っても忘れられない。
テレビに映るたびに文句を言いながら、それでも気になって見てしまう。
それは裏を返せば、中村玉緒さんがそれだけ強く祖母の記憶に刻まれていたということなのでしょう。
私は映画スターだった頃の中村玉緒さんを知りません。
しかし、何十年もの歳月が流れてなお、祖母にそんな思いを抱かせたことこそが、
中村玉緒さんが本物の銀幕のスターだった証なのだと思います。
もしかすると、祖母と同じ世代の人たちの中にも、
同じような思いを抱きながらテレビを見ていた人がいたのかもしれません。
今になって聞いてみたいこと
今になって、祖母に聞いてみたい気持ちがあります。
あなたが夢中になった中村玉緒さんは、どんな人だったのか。
どんな映画を見て、どんな場面に心を動かされたのか。
しかし、それを聞くことはもうできません。
私が知っているのはバラエティ番組の中村玉緒さんだけです。
祖母は、私が知らない中村玉緒さんを知っていました。
同じ人物なのに、見えていた姿はまるで違う。
それが少し不思議で、少し羨ましくもあります。
天国で再会していたら
本人の気持ちは本人にしか分かりません。
映画スターとして活躍した時代も、バラエティで親しまれた時代も、本当はどう思っていたのか。
それを知ることはもうできません。
ただ、せめて「あれはあれで楽しかった」と思えていたらいいなと思います。
中村玉緒さんと祖母。
銀幕のスターと、その時代に憧れた一人のファン。
もし天国で再会しているのなら、祖母は若い頃に見た映画の話をしているかもしれません。
そして中村玉緒さんも、そんな話を笑いながら聞いているかもしれません。
もちろん、全部私の勝手な想像です。
それでも、中村玉緒さんと祖母。
銀幕のスターと、それに憧れた一人のファンが、天国で仲良く会話していてくれたらいいなと、視聴者として、そして孫として思うのです。
今日のところは、以上!


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