君はファミリートレーナーを知っているか? ──リングフィットより30年早く、昭和の家をたわませた“未来ハード”、という話 

君は○○を知っているか!

mutoです。

ファミリートレーナー。
名前だけで懐かしくなる人もいるんじゃないですかね。

1986年、日本で発売された“マット型コントローラー”。


マットの上で走ったり踏んだりジャンプしたりすると、その動きがファミコンに反映されるという、当時としてはだいぶ未来寄りの遊びだった。

発売はバンダイ。ただその後、任天堂が海外用に「Power Pad」を展開したことで、
いまでは 「任天堂の体感ゲームの原点」 みたいな扱いになっている。

Wii Fitやリングフィットが流行ったとき、私は素直にこう思った。

「あ、これ昔見たわ。」

という、あの既視感。

■ 技術が追いつかない時代の“未来マット”

ただし、ファミリートレーナーには大きな弱点があった。

  • 反応が遅い
  • 画面が荒い
  • センサーがそこまで精密じゃない

こちらは全力で走っているのに、キャラはのんびり後からついてくる。
ジャンプしても1テンポ遅れて「ポヨン」。

アイデアは最高だった。
でも時代の技術が追いついていなかった。
典型的な“早すぎた発明”である。

■ 私の実体験──靴下で滑って、昭和の床へダイブ

よく遊ばせてもらったのは、木造二階建ての友達の家。

靴下のままマットに乗った私は、スタートと同時に
ツルッ!
そのまま豪快に転倒。

あの瞬間の恥ずかしさは今でも覚えている(笑)

しかも今思うと、あの家、かなりたわんでいたと思う。
小学生が何人も全力で走って跳ねていたのだから無理もない。

マンションだったら確実に階下トラブル案件。
「ドンドンうるさい!」
「何してるの!?」
間違いなく大揉めだっただろう(笑)

昭和は、こういう細かいケアにあまり神経質じゃなかった。
その“雑な強さ”も、あの時代らしいところだ。

■ 持っている家はレアだった

北米では約50万台売れたらしいが、私のまわりでは本当にレア中のレア。

持っている家は一軒だけで、そこに集まるのがイベント感すらあった。
昭和の子どもって、こういう“未来っぽいものを持ってる家”に弱かった。

■ それでもファミリートレーナーは“時代の先頭”を走っていた

技術不足でうまく広がらなかったのは事実。
ただ、その後に続いた流れを見ると、

  • Power Pad
  • Wii Fit
  • バランスWiiボード
  • リングフィットアドベンチャー

これらは全部、ファミリートレーナーの延長線上にある。

つまり、完成形にはならなかったけれど、
“最初の一歩”としては大きすぎる功績
なのだ。

■ 任天堂は“こういう失敗を恐れない会社”

ファミリートレーナーを思い返すと、私はいつも思う。

任天堂って、こういう無茶な挑戦を普通にやるから強い。

今の時代なら、

  • 階下トラブル
  • 住宅事情
  • センサーの限界
  • 市場規模の不透明さ

こういう理由で企画が止まる。

でも任天堂は、

「面白ければやる」
「未来はこっちだ」
「技術はあとで追いつく」

という姿勢で進む。


この“前のめりさ”が、他の日本企業にはなかなかない魅力だと思う。

昭和の日本は大胆だった。
細かいことより「まずやろうぜ」が勝っていた。

令和になった今、迷惑はかけない範囲で(笑)、
あのちょっとした“勢い”は取り戻してもいいのではないか。

未来って、意外と「走りながら作られていく」ものだから。

おまけ

昭和のゲームって、今思うと“未来へ向かう実験”みたいなところがありました。

ファミリートレーナー以外にも、
同じ空気をまとった昭和の名物たちがあります。

君はディスクシステムを知っているか?──80年代に本当に存在した“赤い未来”
https://mutoblog.com/…

君は高橋名人を知っているか?──16連射で日本中をざわつかせた男
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気が向いたら、ぜひこちらも。

今日のところは、以上!

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