君はディスクシステムを知っているか?──80年代に“書き換え(サブスク)”という概念を家庭用ゲーム市場に取り入れた任天堂の早すぎた挑戦、という話

君は○○を知っているか!

mutoです。

ファミコンの次に登場したハードといえば──そう、ディスクシステム
カセットではなく、書き換え可能なフロッピーディスクにゲームをインストールして遊ぶという、今思えばとんでもなく未来的なシステムでした。

フロッピーにゲームを入れる時代が、確かにあった

ディスクシステムが発売されたのは1986年2月21日。
価格は15,000円。当時のファミコン本体が14,800円だったことを考えると、ほぼ同額の周辺機器という強気の設定でした。

このディスクカード、実はただのフロッピーディスク。
なんとゲームを自由に書き換えできたのです。
大型家電量販店には「ディスクライター」と呼ばれるブースが設置され、
500円払えば別のゲームに書き換え可能。新品ディスクは約2,000円。

今でいえば、「中古ソフトのサブスク+ダウンロード販売」を80年代にすでに実現していたようなもの。
──日本って本当にクリエイティブな国だと思うのです。

書き換えの現場と“音”の真実

書き換えは主に家電量販店のゲームコーナーなどの店頭で行われ、数分待てば完了。
その間、モニターには宣伝映像やアニメが流れ、BGMが鳴っていました。
つまり“ガガガ…”といった機械音が鳴るわけではなく、静かに未来が書き換わっていたのです。

キン肉マンと私──ディスクに刻まれた誇り

当時の大ヒットゲーム『キン肉マン マッスルタッグマッチ』を、私はディスクシステムで遊んでいました。
今となってはそれが私の誇りです。


時代の最先端のゲームを、最先端のシステムで遊んでいたわけですから。

いわば──最新のiPhoneを発売日に手にしてニマニマしているのと同じ構図です(笑)。

80年代。スティーブ・ジョブズがまだ学生時代だった頃、
日本ではすでに近未来的なデジタル配信システムが稼働していた。
どう考えても、これは凄すぎる話です。

そう、日本って本当に凄いんです。
誰が否定しても、私は全力でそう主張します。

それでも天下を取れなかった理由

私は今でも思うのです。
なんて画期的なシステムなんだ!
なのに、なぜあれほどの革命が主流にならなかったのか。

理由はいくつかあります。

  1. 大手ソフトメーカーが乗ってこなかった。
     ライセンスや価格設計の問題で任天堂独自色が強くなり、他社が距離を置いた。
  2. “モノとしての満足感”が薄かった。
     当時の子どもたちは「箱」「説明書」込みでソフトを所有したかった。
     薄いスリーブではワクワク感が足りなかったのです。
  3. 消費者のデータリテラシーが追いつかなかった。
     「上書き」「セーブ」などの概念が一般家庭には難しかった。
  4. ディスクの脆弱さ。
     金属シャッターを省いた構造で、ホコリや指紋に弱く、故障が多発。
  5. カセットの進化が早すぎた。
     数年後にはROMカセットが安価で大容量化。ディスクの優位性が消滅。
  6. コピー問題。
     磁気メディアゆえに違法コピーが容易で、メーカーにとってリスクが大きかった。

──一言で言うと、時代が早すぎたのです。

数字で見るディスクシステム

  • 販売開始:1986年2月21日
  • 販売台数:約440〜450万台(日本国内)
  • 書き換え料金:500円(新品ディスクは約2,000円)
  • 書き換え時間:数分〜10分

ファミコン本体が約1,900万台売れていたことを考えると、
普及率は2割前後。成功ではあっても、天下を取るには届かなかったという位置づけです。

今思えば、控えめに言って“天才”の発明だった

今振り返っても、このシステムを考えた人は控えめに言って天才
いや、控えめに言う必要もない。間違いなく天才です。

GAFAMにだって引けを取らない。
むしろ、彼らが「デジタル配信」「クラウドストレージ」を打ち出す何十年も前に、
任天堂はそれを現実化していたのです。
1986年の日本で。──狂おしいほど先進的。

ただし、当時のメインユーザーは小学生
「書き換えができる」より「パッケージがカッコいい」ほうが大事。
つまりこれは、技術ではなくマーケティングの失敗だったのかもしれません。

実は“エコ”だった書き換え文化──80年代に芽吹いたSEG思想

忘れてはいけないのは、ディスクシステムの「書き換え」という仕組みが、
圧倒的にエコだったということです。

同じディスクを何度も再利用し、無駄なカセットを量産しない。
いわば、80年代にすでに**家庭用エンタメでのサステナブル化=SEG(Sustainable Entertainment Game)**を実現していたわけです。

当時、大量生産・大量消費のアメリカが「イケイケ資本主義」で突っ走っていた頃、
日本では“書き換え文化”という知的で持続的な仕組みを一般家庭に提供していた。

──やっぱりすごいぜ、日本!
この一点においても、私たちはもっと誇っていい。

消費者としての懺悔

私もディスクシステムの磁気部分に指紋をつけ、何枚かお釈迦にしてしまった記憶があります……。
今思えば、あれは愚行でした。
ごめんなさい、任天堂様。

あなたが生み出したこの天才的なシステムを普及できなかったのは、
メーカーだけでなく、私たち消費者にも責任があったのだと思います。
あの頃の自分に言いたい──「指紋をつけるな、未来を壊すな」と。

早すぎた天才発明

ディスクシステムは、技術的にも思想的にもGAFAM級の発想を持っていた。
しかもエコで、文化的に成熟していた。

ファミコンが“家庭用ゲームの夜明け”だとすれば、
ディスクシステムは“デジタル配信とサステナブル文化の夜明け”だった。

1986年、任天堂はすでに「未来」を見ていた。
──そして、私たちはそれをまだ理解する準備ができていなかっただけなのかもしれません。

今日のところは、以上!

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