君は「すんげーBest10」を知っているか?──関西深夜に咲いた“お笑いPL学園”、という話

君は○○を知っているか!

あの深夜、関西ローカルのテレビにしか映らなかったスターたちがいた──。
千原兄弟、中川家、ジャリズム、サバンナ、陣内智則、ブラックマヨネーズ、ケンドーコバヤシ、バッファロー吾郎、小籔千豊、メッセンジャー、なだぎ武、二丁拳銃、たむらけんじ……。
今や全国区で知られる錚々たる芸人たちが、まだ無名の若手時代にそれこそ命懸けでネタを披露していた伝説の舞台。
その名は「すんげーベスト10」。

これだけの顔ぶれを一堂に集められる番組を、今の時代に作れるだろうか?
当時の深夜番組は、若手芸人が全力で挑戦できる“戦場”であり、文化そのものを生み出す土壌でした。
そして私にとっても、この番組はただのバラエティではなく、青春そのものであり、価値観を変えた場所だったのです。

シビアすぎる“お笑いサバイバル”

「すんげーベスト10」のルールはシンプルながら過酷そのもの。
漫才でもコントでもユニットネタでもOK。観客投票で得点が決まり、上位だけがオンエアされるシビアな仕組み。
出演したのにカットされることも珍しくなく、芸人たちは命を削るような覚悟で舞台に立っていました。
深夜テレビに映るその緊張感、ギラギラした目つきは、視聴者の胸に直接突き刺さったのです。

渡辺あつむ──推しであり、異次元のカリスマ

私を最も魅了したのはジャリズムの渡辺あつむ(現・桂三度)。

右:渡辺あつむ


彼は芸人という枠を超えた存在感を放っていました。
独特の風貌、鋭い目線、そして役者顔負けの演技力。
ネタの中で見せる狂気じみた演技は「この人、本当にテレビに出して大丈夫なのか?」と本気で思わせるほどの迫力。
憑依型芸人の走りと言っても過言ではありません。

しかしエンディングで普通に話す彼は背が高く、スタイルもよく、色気が漂う人物。
男前というよりも“異様な魅力”をまとった芸人でした。
この芸風は、のちの

  • チュートリアルの徳井義実
  • オードリーの春日俊彰
  • スリムクラブの真栄田賢
    らに受け継がれていると私は勝手に思っています。

中学生の私は彼に完全に惹かれていました。
今でいう「推し」です。

世界のナベアツとしてのブレイクに泣きそうになった

ジャリズム解散後、しばらく姿を見かけなかった彼が「世界のナベアツ」として復活し、「3の倍数でアホになる」のギャグで大ブレイクしたとき、私は本当に胸が熱くなりました。


「ようやく世に認められた!」と、推しとしての感情がこみ上げてきたのです。
あのブレイクは「遅すぎるぐらいのブレイク」でしたが、彼が再び脚光を浴びた瞬間を見て涙が出そうになったのを覚えています。

レアすぎる若手芸人の姿

「すんげーベスト10」には、今では考えられないほど貴重な芸人たちの若手時代が詰まっています。

  • ケンドーコバヤシ:「モストデンジャラスコンビ」として尖った漫才を披露。
  • たむらけんじ:「LALALA」というコンビで活動。焼肉屋オーナーのイメージとは真逆の純粋な芸人時代。
  • 岩尾望(現・フットボールアワー):「ドレス」というコンビで出演。
  • 後藤輝基(現・フットボールアワー):「エレキグラム」という別コンビで舞台に立っていました。
  • ブラックマヨネーズ:ホスト風スーツで漫才を披露する“シュッとしたブラマヨ”。
  • 陣内智則:「リミテッド」というコンビで活動。ピン時代しか知らない人には新鮮な事実。
  • サバンナ:立命館大学在学中にコンビを結成し、学生のままテレビに出演していた異色の経歴。
  • 小籔千豊:劇場でネタ職人として評価されていた時代。

千原ジュニア──若手の頃から別格

舞台を仕切る千原ジュニアの“回し”もこの番組の名物でした。
20代前半にして完成度の高い進行力で舞台を操る姿は、芸歴以上の風格を漂わせていました。


彼が東京進出後に苦戦した時期があったことの方が不思議に思えるほどの完成度でした。

好き嫌いがあるとは思いますが、芸人として、ではなく1個人として本当に頭の良い人だと思います。

関西お笑い文化と“モテ構造”

当時の関西は「モテる=おもろいやつ」という価値観が今以上に濃く存在していました。
ジャニーズのアイドルよりも、この番組に出演する“すんげー戦士”(←私の造語)の方が女子にモテた時代。
ファン層はお世辞にもお行儀が良いとは言えず(笑)、舞台袖には熱気あふれる女性ファンが押し寄せていました。
でもその熱量こそが芸人を育て、番組を伝説にしたのです。

親子で観た深夜番組──青春の原点

私はこの番組をきっかけに、芸人を“推す”という体験を中学生の頃からしていました。
給食時間に友達とネタの話をし、深夜まで起きて、時には父と一緒に笑いながら観たあの時間は、今も鮮明に覚えています。
その経験は「お笑い」という文化の底力を知る原点であり、人生観にまで影響を与えました。

深夜番組が作った時代、そして今の想い

当時の深夜番組やラジオは、若手が自由に挑戦できる空気に満ちていました。
そこから時代を切り開くスターたちが現れ、お笑い界に新しい波を起こしたのです。
40代半ばとなった今の私は、その空気を思い出しながら、
**「なんでも“NO”と言って芽を摘む側ではなく、若手にチャンスを与え、次の時代を作る側でありたい」**と強く思います。

すんげーベスト10が残したもの

「すんげーベスト10」は単なるネタ番組ではありません。
千原兄弟、中川家、ブラックマヨネーズ、フットボールアワーら全国区のスターを輩出した登竜門であり、
90年代〜2000年代の関西お笑い黄金期を作った“原点”です。
断片的な映像は今も観られますが、リアルタイムで感じたあの熱気と緊張感は、まさに私の青春の1ページでした。

次回は──

  • 君は「鉄骨飲料」を知っているか?

続編もぜひご期待ください!

今日のところは、以上!

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