君は「おぼっちゃまくん」を知っているか?──狂気・風刺・茶魔語で日本を席巻したバカまじめギャグ漫画、という話

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mutoです。

突然ですがいまだに私は茶魔語が話せます。
英語は話せませんけど(笑)。

「ともだち〇こ」「おはヨーグルト」「さいならっきょ」──。


この3つがスラスラ出てくる時点で、もう立派な“おぼっちゃまくん世代”。


■ 世界有数の財閥、お坊財閥の跡取り息子

御坊茶魔(おぼう・ちゃま)は、世界有数のお坊財閥のひとり息子

「歩く身代金」。

耳垢は砂金、歯はダイヤモンド。
誘拐されても、自らそれを誘拐犯に渡して助けるという人格者(?)っぷり。

頭にはなぜか一本の角が生え、
口を開けば博多弁、一人称は「ぽっくん」。
服装はいつもピンクの一張羅スーツ

──スティーブ・ジョブズが黒タートルでミニマリズムを体現したのが2000年代なら、
茶魔は昭和末期にすでに「ピンク一張羅道」を極めていた。
未来を先取りした“成金ミニマリスト”だったのです(笑)。

■ カメで登校する理由がシュールすぎる

茶魔は通学時、カメに乗って登校します。
理由はおとうちゃまの教え、

「落ち着きを持った、大きな人間になれ」

……深いようで、やっぱり意味不明。
今なら「動物虐待だ!」で炎上間違いなし。
でも当時は誰も怒らず、むしろ笑って受け入れていた。

そういう時代でした。
“正しさ”より“面白さ”が優先された、懐の深い時代です。

■ びんぼっちゃま──貧しさの哲学者

茶魔の友達の一人、びんぼっちゃま


「落ちぶれても、もとは上流家庭」という信念を貫き、
前だけ一張羅、後ろは裸。

このキャラ、子ども向け漫画とは思えません(笑)。
でも彼の姿勢は、「貧しくても誇りを持て」という皮肉と哲学の融合。
下品と高貴が同居していた、まさに“平成初期ギャグの完成形”です。

■ 数字で見る「おぼっちゃまくん」の異常な成功

  • 連載開始: 1986年(コミックボンボン)
  • 単行本累計発行部数: 約630万部
  • アニメ放送期間: 1989年1月14日〜1992年9月26日(全164話)
  • 最高視聴率: 18.2%(1991年12月28日放送回)

金満キャラ、下ネタ、博多弁、ピンクスーツ。
このカオスで視聴率18%超え
もう「日本全体が茶魔の信者だった」と言っても過言ではありません。

■ PTAもスポンサーも頭を抱えた(笑)

「キン肉マン」や「北斗の拳」がPTAのターゲットだった時代、
当然「おぼっちゃまくん」も無傷では済みませんでした。

下ネタが多すぎてスポンサーが次々と撤退。

でもそれを笑って見ていた母や、学校で真似してた友人たちを思い出すと、
あの“何でも笑える空気”はやっぱり尊かったと思います。

■ ともだち〇こ──日本の恥にして誇り

作中最大の伝説、「ともだち〇こ」。

今なら完全アウトですが、
小林よしのり先生いわく、これは

「心から信頼した相手への友情の証」

……もう笑うしかない(笑)。
でもその裏には、“友情とは相手を丸ごと受け入れること”という、
昭和らしい直球の人間賛歌が隠れています。
下ネタに見せかけて、実は深いんです。

■ よしりん先生の“コぺ転”

そんな小林よしのり先生が、のちに『ゴーマニズム宣言』で論客に転身。
あのバカギャグ漫画から社会思想へ。
「たけちゃんまんが世界の武になる」以上のコぺ転です。

でも思えば、『おぼっちゃまくん』時代からすでに社会風刺をやっていた。
笑いの仮面をかぶった思想家──それがよしりん先生の真の姿だったのです。

■ そして今、インドでバカ受け中

信じられない話ですが、いまインドで『おぼっちゃまくん』が人気
富裕層を風刺するギャグとして評価され、SNSでもバズっています。

つまり“金持ちを笑う文化”は、国を超えて通用した。
昭和の狂気は、いまやグローバル・ユーモアなのです。

■ 父親になって気づいたこと

今、私は2人の子を持つ父親です。
もし自分の子どもが『おぼっちゃまくん』を見ていたら──
……さすがに止めるでしょうね(笑)。

そう考えると、私もつまらん大人になったものです。
でも、あの“何でも笑えた時代”があったからこそ、
今の自分がいる気もします。

「おふくろが笑っていたあの茶魔ワールド」を思い出すと、
平成初期の優しさが少し恋しくなるのです。

今日のところは、以上!

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