mutoです。
いきなりですが、昭和という時代はやっぱりおかしかったと思います。
なぜなら普通のサラリーマンのおじさんが全国区のヒーローとなり、
そのおじさんがファミコンソフトやアニメになるような時代だったからです。
その人の名は高橋名人(本名:高橋利幸、1959年5月23日生まれ)。

出身は北海道。
職業はごく普通のハドソン社員。
営業から広報に回された、ごく一般的なサラリーマンなのに、前述のように
- 日本全国でイベントを開催し、
- テレビに引っ張りだこになり、
- アニメの主人公になり、
- ゲームの主人公にもなり、
- しかもそのゲームが100万本売れてしまう
今で例えるなら、「食品メーカーの係長が突然TikTokでバズって、翌月にはテレビアニメの主人公になり、さらに自分の名前のゲームが発売されてミリオン突破」といったところ。
意味がわかりません。
今でも木村拓哉や朝倉未来がゲームにキャラとして登場する、ということはあるようですが
それはあくまでゲームのスパイスであり、キャラの主人公になることはないです。
そしてそのゲームが100万本売れる、ということは無いでしょう。

昭和、攻めすぎです。
◆昭和ゲーム文化と「16連射」という魔法
1980年代、小学生男子のステータスは3つ。
- 足が速い
- ドッジボールが強い
- ファミコンがうまい
その中でも圧倒的にわかりやすく、尊敬の的になったのが「連射の速さ」でした。
当時のシューティングゲームは「連射こそ力」。
オート連射機能なんてありません。指の速さが人生を変える時代だったのです。
そこで現れたのが高橋名人。
テレビ画面の中で、彼はこう言い放ちました。
「1秒間に16連射できます」
子どもたちの脳が一瞬でフリーズしました。
「え? 1秒に16回って何!?」
自分でやってみると8回くらいしか出ない……。
16連射は“人間離れした神技”として、全国の小学生を熱狂させたのです。
◆高橋名人の正体 ──本当はどんな人だったのか?
- 本名:高橋 利幸
- 生年月日:1959年5月23日(北海道札幌市出身)
- 1982年:ハドソン入社(営業職)
- その後:東京支店→宣伝・広報へ異動
- 1985年:ファミコン全国キャラバン実演担当に抜擢され、「名人」という肩書きを公式に与えられる
つまり、彼は「ゲームのうまいおじさん」ではなく、会社から広報アイコンとして選抜された社員だったのです。
が、ここから時代が狂い始めます。
◆『高橋名人の冒険島』──会社員が主人公のゲームがミリオンヒットする異常事態
1986年9月12日、ファミコンソフト
**『高橋名人の冒険島』**が発売されます。

結果──国内出荷105万本突破。
当時、ファミコンソフトは10万本でヒット、30万本で大ヒットとされていた時代。
そんな中、「会社員が走り回るゲーム」がミリオン突破したのです。
しかもゲームはこういう内容です。
- 名人が島を走る
- フルーツを食べて体力を回復
- 岩にぶつかると転ぶ
- ナスに触れると体力が減る(※嫌いな食べ物設定)
……これがなぜ100万本売れるのか?
答えはひとつ。
「名人が出てるから」
当時の子どもたちにとって高橋名人は、マリオでも孫悟空でも悟飯でもない。
本人こそがヒーローだったのです。
◆アニメ『Bugってハニー』──フィクションと現実が融合する時代
『冒険島』が発売された翌月、1986年10月3日。
なんと名人がそのまま主人公になったテレビアニメ**『Bugってハニー』**が放送開始。

つまり──
- 名人(リアル)
- →ゲーム化(冒険島)
- →アニメ化(Bugってハニー)
- →再びゲーム化(Bugってハニー)
……という、**「現実とフィクションが渦巻くメタ構造」**が完成したのです。

昭和のマーケティング、完全に振り切っています。
◆ライバル登場!毛利名人という「もう一人の名人」
昭和のヒーローにはライバルが必要です。
そこで登場するのが毛利名人(本名:毛利公信)。
当時の子どもたちは「高橋派」と「毛利派」に分かれ、ファミコン版のアムロ vs シャア状態に突入。
イベントでは名人同士の対決が組まれ、もはやゲームの実演会は「ファミコン武闘会」と化していました。
昭和、熱すぎる・・・・。
◆昭和の怪奇現象──逮捕説・死亡説が全国に広がる
そして人気がピークを迎えた頃、突然こんな噂が全国の小学校を駆け巡ります。
「高橋名人、逮捕されたらしい」
「いや、死んだって聞いた」
もちろん、そんな事実は一切ありません。
にもかかわらず、このフェイクニュースは全国の学校で同時多発的に広がりました。
誰が言い出したのか? どうやって広まったのか? まったく分かっていません。
これはインターネットもスマホもない時代に発生した“昭和の魔訶不思議な現象”です。
子どもたちは真剣に「名人が消えた理由」を議論していました。
まるで都市伝説。いや、もはや宗教の域です。
◆終章──あなたにとっての「16連射」は何ですか?
16連射は現代では役に立ちません。
資格にもならないし、履歴書にも書けません。
でも──あの頃、16連射は**「夢の象徴」**でした。
- ゲームの世界に「神」がいることを知った
- 自分もいつか追いつけるかもしれないと思った
- ただの会社員でもヒーローになれると信じた
昭和という時代は、人間に“物語”を与える力を持っていたのです。
では、今のあなたにとっての「16連射」は何でしょうか?
お金にならず、意味がなくても、
それでも心を燃やしてしまう何か。それこそが、今の時代に一番必要とされている“名人の精神”なのかもしれません。
今日のところは、以上!
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