君は「つるピカハゲ丸」を知っているか?──下品すぎる昭和ギャグ漫画がアニメ化・ゲーム化までした理由

君は○○を知っているか!

「つるピカハゲ丸(Tsurupika Hagemaru)」という漫画をご存知でしょうか。
のむらしんぼ先生による4コマギャグ漫画で、1985年から1995年まで『月刊コロコロコミック』で連載され、単行本は全25巻。

1987年には小学館漫画賞(児童部門)を受賞した、当時の子どもに絶大な人気を誇った作品です。

しかしその中身は、今ではまず通らないレベルの“下品ギャグ”オンパレード。
主人公の名前はハゲ田ハゲ丸。父はハゲ田ハゲ蔵、弟はハゲ田ツル丸、さらには「ブス姉ちゃん」なるキャラまで登場するという徹底ぶり。

そして上記キャラはこれでもか、というほど名は体を表している・・。

**「貧乏」+「ハゲ」**という二大ネガティブ要素をかけ合わせて子どもに大笑いさせる、容赦ない構成でした。

「ツルせこ~!」──ケチネタと決め台詞の破壊力

作品のキーワードは「ツルせこ」。

これは「つるつるでセコい」という造語で、ハゲ丸一家が節約・ケチ行為をするたびに登場。
4コマ漫画のオチとして多用され、「ツルせこ~!」で締めるパターンは読者の脳裏に強烈に残りました。

例えば、こんなシーン。

友達の近藤が「焼肉があればご飯は何杯でも食べれるぜ!」と言うと、
ハゲ丸は「俺は焼肉の煙だけでご飯が何杯でも食べれるぜ!」と答え、近藤の家の換気扇の吹き出し口にお茶碗を持ってスタンバイ。
そこにはハゲ丸一家が笑顔で勢ぞろいしている。
最後は近藤が「ツルせこ~!」と叫ぶ──。

こんなしょうもないネタが延々と続いていた記憶があります。
のむらしんぼ先生、ごめんなさい。でもこの「しょうもない」は最高の誉め言葉です。信じてください…。

私自身、当時はアニメを土曜の早朝に放送で見ており、眠い目をこすってまでテレビをつけていた記憶があります。ただ正直、そこまで頑張って見るほどの内容だったかは疑問(笑)。←これも誉め言葉です。

アニメ化と爆発的な人気

  • アニメ放送期間:1988年3月3日~1989年10月6日(全59話+スペシャル3本)
  • 放送局:テレビ朝日系

アニメ化によって知名度は一気に全国区へ。単行本も増刷を重ね、のむらしんぼ先生の代表作となりました。10年間連載という長寿は、「コロコロ黄金期」の看板作品の一つであった証拠です。

ファミコンソフトまで発売

人気は止まらず、1991年にはファミコンソフトも登場。

  • タイトル:『つるピカハゲ丸 めざせ!つるセコの証』
  • 発売日:1991年12月13日
  • メーカー:バンダイ
  • ジャンル:アクション+アドベンチャー(情報収集とアクションステージを行き来して「つるセコキング」を目指す)

すごろく系が多かったキャラゲーの中で、ハゲ丸は「アクション×探索」という変わり種。今も中古市場で見かけることがあります。

作者の収入と社会的インパクト

のむらしんぼ先生によると、

  • 連載初期の年収は200万円ほど。
  • アニメ化・単行本ヒットで3000万円規模に。
  • ピーク時には年間6000万円近い収入を得ていたといいます。

ギャグ漫画家としては異例の大成功で、「つるピカハゲ丸」が当時の児童漫画市場を席巻していたことがわかります。

子ども文化への影響

この漫画のせいで、当時の小学生は「ハゲ」に容赦がなかった記憶があります。私自身も、ハゲかかっていた小学校の先生に「ハゲ!」と呼んでしまったことが…。先生、本当にすみません。

幸い、私はまだハゲていませんが、もし将来そうなったら、それはハゲ丸と先生の呪いだと笑うしかないでしょう(笑)。

昭和終盤~平成初期の「カオス」

振り返ると、昭和終盤から平成初期は倫理なんて置き去りのカオスな時代でした。
「ハゲ」「ブス」なんて言葉を子ども向け作品で平気で使い、しかもそれを社会全体が笑って受け入れていた。面白い反面、かなり残酷でもあった。

令和の今は逆に息苦しいくらい配慮だらけ。かといって「昔の方が良かった」とも言い切れないんですよね。
まぁ、結局どっちも極端。時代ってそうやって行ったり来たりするもんなんでしょう。

今日のところは、以上!

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