mutoです。
突然ですが、「かっとばせ キヨハラ君」を知っていますか?
知っている人、間違いなく私と同世代です。
そして、知らない人が多いのも当然でしょう。
そう。**清原和博**が、かつて
**月刊コロコロコミック**で
ギャグ漫画の主人公として連載されていた時代がありました。

タイトルは──
「かっとばせ キヨハラくん」。
今となっては、ほとんど信じがたい話です。

全然、似ていない──それ以前の問題
まず、どうしても避けて通れない点があります。
とにかく、似ていない。
清原和博だと言われなければ、
まずそうは見えません。
特に印象に残っているのが、
常に前歯を出しているあの表情です。
そして、ここからが当時ならではの話なのですが──
パ・リーグの野球はスポーツニュースで結果を知るだけでした。
当時のパ・リーグは、
- テレビ中継が少ない
- ニュースでも扱いが薄い
- 学校の話題はほぼ巨人一色
正直に言えば、存在感がなかった。
そんな状況で、
- 前歯を出している
- ギャグ漫画の主人公
- やたらとうるさそう
この情報だけを与えられた幼少期の私は、
本気でこう思いました。
「ああ、これは 明石家さんま のことを描いているんだな」
冗談ではありません。

本気でそう理解していました。
それくらい、
キヨハラくんは“キヨハラに見えなかった”し、
パ・リーグのスターという前提知識もなかった。
この二つが重なった、
極めて素直な誤認だったわけです。
そして忘れてはいけない、クワタの扱い
ここで、どうしても触れずにはいられない存在がいます。
そう、クワタです。

はっきり言いましょう。
こちらは、キヨハラくん以上にひどい。
- 強調されすぎたほくろ
- 不自然なまでにエラの張った輪郭
- どこか俯いているような表情
- そして極めつけは、根暗キャラ設定
もはやデフォルメというより、
人格改変レベルです。
実在のトップアスリートをここまで描くか、というくらい容赦がない。
今の感覚で見れば、確実に炎上案件でしょう。
当時の子ども心にも、
「さすがにクワタは可哀想では……?」
と一瞬よぎった気がします。
とはいえ、それすら笑いとして成立してしまっていた。
本当にひどい(笑)
そして、それを許してしまう時代だったのです。
コロコロコミックという少年漫画のメジャーリーグ
ただし、この話が成立する背景には、
舞台そのものの異常な強さがあります。
当時のコロコロコミックには、
- ドラえもん
- つるピカハゲ丸
- おぼっちゃまくん
- ダッシュ!四駆郎
- 魔神英雄伝ワタル
- オバケのQ太郎
といった、今見ても驚く連載陣が揃っていました。

まさに、
ジャンプ前世代における少年漫画雑誌のメジャーリーグ。
そのど真ん中に、
実在のプロ野球選手が、
しかもギャグ漫画として放り込まれていた。
冷静に考えると、やはり異常です。
令和では、まず成立しない企画
今の令和の感覚で、
**「頑張れオオタニ君!」**のような漫画は出せるでしょうか。

おそらく、無理です。
- コンプライアンス
- 個人肖像権
- ブランド管理
- 個人の尊厳
どれか一つでも引っかかる。
しかし、「かっとばせ キヨハラくん」が連載されていた時代は違いました。
個人の尊厳? ほぼ無視(笑)
似てない? 気にしない
人格改変? むしろギャグの一部
そんな空気の中で、
当時のスーパースターを自由(?)に漫画化できた。
二度と来ない、異常な時代
平成初期というのは、
- スポーツスターが神話だった時代
- 野球がエンタメの王だった時代
- 漫画が何でも飲み込めた時代
清原和博が、
似ていない顔で、
前歯を出しながら、
クワタは根暗キャラにされ、
少年漫画の世界を暴れ回っていた。
これはもう、
時代そのものが生んだバグです。
令和の価値観では、
間違いなく再現不可能。
だからこそ、はっきり言えます。
あの頃は、
本当に二度と来ない、とんでもない時代でした。
いい時代とは言わない。
でもパワフルでカオスな時代であったことは事実です。
今日のところは、以上!




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