mutoです。
26年の師走も、もう半分以上が過ぎました。
この時期になると、毎年のように話題に上がってくるのがM-1グランプリです。
でも、正直に言いましょう。
それほどワクワクしていますか?
私は、していません。
というより、かなり前から食傷気味です。
第1期M-1は、やはり別格でした
第1期のM-1は、本当に凄かったと思います。
麒麟、おぎやはぎ、笑い飯、南海キャンディーズ、サンドウィッチマン、ナイツ、モンスターエンジン、スリムクラブ。


毎年のように「新しいヒーロー」が誕生していました。
しかもそれが一過性ではなく、
「あ、この人たちは本物だな」と納得できる強さがあった。
また、すでに実力が知られていたコンビが、きちんと結果を残したのも印象的でした。
ハリガネロック、2丁拳銃、中川家。


すんげー!Best10などで頭角を現していた彼らが、
M-1という舞台でも成績を残す姿を見て、
この大会は運ではなく、実力の大会なのだと感じたものです。
「やっぱり関西は、お笑いのメジャーリーグなんやな」
関西人として、忘れられない感覚もあります。
チュートリアル、キングコング、ダイアン、ブラックマヨネーズ。


彼らが全国区の舞台で評価されていくのを見て、
「やっぱり関西は、お笑いのメジャーリーグなんやな」
と、胸がすく思いをしました。
確か、チュートリアルが優勝したのは2006年でした。
年末年始の休みで帰省していた時、
ふらっと入った串カツ屋で、隣の席の一般のお客さんが、
「今年はチュートが取るで!」
と、まるで阪神タイガースの話題をするかのように
M-1の話していたのを、今でも覚えています。

芸人の優勝予想を、
専門家でもファンでもない“普通のおっちゃん”が居酒屋で語っている。
正直、大晦日の格闘技なんか目じゃないくらい、
当時の関西ではM-1が一大イベントだったのだと思います。
第2期に入って、空気は確実に変わりました
ところが、第2期に入ってから、M-1は一気にスケールダウンしたように感じます。
出場条件が「結成15年以内」に延びたこと。
創始者である天才、島田紳助の
「10年やってダメなら、もう諦めなさい」
という、厳しくも優しいバーが下がったこと。
あの締切があったからこそ、
M-1は夢と覚悟が同時に詰まった舞台でした。
その緊張感が、少しずつ薄れていったように思います。
毎年王者が増えます。でも、活躍できる席は増えていません
第2期に入ってからも、毎年のように王者は生まれています。
しかし、お笑いの「売れる席」は、そんなに増えていません。
正直に言えば、
第1期の王者たちと比べると、
第2期の王者たちは、その後の活躍が保証されているとは言いがたい。
「優勝=人生が変わる」
そんな感じが、どうしても薄いのです。

1000万円は、もう人生を賭ける金額ではありません
もう一つ、どうしても引っかかる点があります。
優勝賞金1000万円。
これは開始当初から、ずっと変わっていません。
M-1が始まってから21年。
物価も、生活費も、リスクも、すべて上がりました。
もちろん1000万円は大金です。
ですが、今の1000万円は、
人生を欠けて挑む金額ではなくなっています。
M-1が面白かった理由の一つは、
人生を賭けた大博打だったからです。
ごまかしの利かない一発勝負。
ここで負けたら、もう後がないかもしれない。
その緊張感があったからこそ、
見る側もハラハラしながら見ていたのだと思います。
センターマイクが、軽くなった気がします
第1期M-1のセンターマイクには、
夢と希望と、そしてどうしようもない絶望がぶら下がっていました。

誤解を恐れずに言いましょう。
今のセンターマイクには、それがぶら下がっていません。
もちろん、今の出場者たちが本気でないわけではありません。
努力していないわけでもありません。
ただ、あの頃のセンターマイクは、
「これを掴めなければ人生が終わるかもしれない」
そんな重さを、誰もが無意識に感じ取っていました。
だからこそ、見ている側も息を呑んだ。
笑いながら、どこか怖かった。
今のセンターマイクは、
よく言えば整っています。
悪く言えば、安全です。
夢はある。
希望もある。
でも、絶望がない。
栄光ある終焉を選ぶ、という提案
生粋とは言えませんが、
お笑いファンであることは、間違いなく事実です。
第1回から、結果だけは必ずチェックしてきました。
好きだったからこそ、
距離を置くようになっても、完全には無視できなかった。
そんな人間として、
あえて残酷なことを提案します。
M-1、
栄光ある終焉を選びませんか。
無理に延命せず、
思い出が美しいうちに幕を引く。
それは敗北ではありません。
むしろ、
あれだけの夢と希望と絶望を背負った大会にしか
許されない、贅沢な終わり方です。
センターマイクが、完全に軽くなってしまう前に。
「伝説だった」と、胸を張って言えるうちに。
M-1には、
そう終わる資格があると思うのです。
いかがでしょうか?
今日のところは、以上!



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