イマーシブ・フォート東京のクローズに思う。マーケティングは、結局「やってみないと分からない」、という話

サラリーマンの独り言

mutoです。

イマーシブ・フォート東京のクローズが決まった、というニュースを知りました。


正直なところ、少なからず衝撃を受けました。

理由は単純で、この案件には
森岡毅 氏が率いる
が深く関わっていたからです。

刀は、USJ再建で名を馳せた後も、沖縄の大規模テーマパーク
ジャングリア など、
日本では珍しいレベルの“ビッグプロジェクト”を複数手がけてきました。

その一つが、イマーシブ・フォート東京でした。

もっとも、最初に断っておきます。
私はイマーシブ・フォート東京に実際に行ったことがありません。
したがって、コンセプトの善し悪しや、個別の施策、マーケティングの是非について
断定的に語るつもりはありません。

それでも、このニュースに衝撃を受けたのは事実です。

イマーシブ・フォート東京とは何だったのか(事実整理)

感情論に入る前に、まずは事実だけを整理しておきたいと思います。

イマーシブ・フォート東京 は、

  • 2024年3月1日に開業
  • お台場・旧ヴィーナス・フォート跡地に立地
  • 3万㎡ に及ぶ大規模屋内施設
  • 約12の体験型アトラクション
  • 飲食・物販を含む複合型施設

最大の特徴は、
来場者が観客ではなく、物語の当事者になる
という「イマーシブ(没入型)体験」を前面に押し出していた点でした。

いわゆる「見て楽しむテーマパーク」ではなく、
参加し、巻き込まれ、物語の中を歩く空間です。

日本ではまだ一般化していないジャンルに、
かなり大きなスケールで踏み込んだ挑戦だったと言えるでしょう。

一方で、公式に来場者数や売上などの詳細な数値は公表されていません。
そして、2026年2月28日をもって営業終了することが発表されました。
開業から約2年弱という、決して長くはない期間での撤退です。

可哀そうだな、とは思います。
ただし、勝てば官軍はこの世の常です。
実質的に失敗と言わざるを得ない以上、それは仕方がないとも感じています。

ヴィーナス・フォートという「記憶の場所」

この場所を語るうえで、どうしても避けて通れないのが、
前身である ヴィーナス・フォート の存在です。

今から20年以上前、大学生だった私は、初めてあの施設を訪れたとき、
「なんてオシャレな場所なんだ」と、心から驚いたことを覚えています。

あそこで食べたピザと赤ワインのセットは、
当時の自分にとっては、

「自分ほどオシャレな人間がこの世にいるのだろうか」

と思ってしまうほどの体験でした(笑)。

今振り返れば若気の至りですが、
同じような記憶を持っている人は、私だけではないようです。

ブログやSNSを見ていると、
ヴィーナス・フォートを「青春時代の甘酸っぱい思い出が詰まった場所」
として語る人は、想像以上に多く見られます。

あの場所は、単なる商業施設ではありませんでした。
人生のワンシーンを保存する装置だったのだと思います。

お台場が「夢の島」だった時代

当時のお台場は、今とはまるで違っていました。

  • フジテレビ の絶頂期
  • トレンディドラマ全盛
  • 東京湾岸の未来感

お台場そのものが、時代の象徴だったと言えるでしょう。

正直に言えば、
あの空気感は、もう二度と戻らないのだと思います。

立地が悪くなったわけではありません。
時代が変わったのです。

イマーシブ・フォート東京が背負っていたもの

イマーシブ・フォート東京は、
単なる新施設ではありませんでした。

  • ヴィーナス・フォートの記憶
  • お台場黄金期へのノスタルジー
  • 「もう一度、あの頃のワクワクを」という無言の期待

こうしたものを、意図せず背負わされた存在だったように感じます。

どれだけ「これは全く新しい体験です」と説明しても、
人は無意識に比較してしまいます。

「昔は良かった」
「あの頃は楽しかった」

この時点で、勝負はかなり厳しかったのではないでしょうか。

ロジックを尽くしても、最後は分からない

森岡氏や刀が、本気でなかったとは到底思えません。
むしろ、日本では珍しいほど、
理論とデータで武装した挑戦だったはずです。

それでも、結果は出ませんでした。

ここで改めて思います。

**マーケティングは、どれだけ科学的に分析しても、
最後は「やってみないと分からない」**のだと。

仮説は立てられます。
成功確率を高めることもできます。
しかし、当たるかどうかは事後にしか分かりません。

USJは成功し、
イマーシブ・フォート東京は撤退しました。

この二つは矛盾しません。
どちらも同時に真実なのだと思います。

おわりに

イマーシブ・フォート東京のクローズは、
誰かを嘲笑するためのニュースではありません。

「マーケティングとは何か」
「人は何に心を動かされるのか」

それを改めて考えさせられる、
非常に示唆に富んだ事例だったと感じています。

結局のところ、
マーケティングは、最後はやってみなくては分からない。

その不確実性を引き受ける覚悟があるかどうか。
それが、挑戦する側と、外から語る側を分ける境界線なのだと思います。

今日のところは、以上!

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