mutoです。
自分が実際に読んでよかった書籍を紹介する新シリーズ。
第3回目は「家康、江戸を建てる」
現在の東京に続く江戸を作った人々の生き様にスポットを当てたオムニバス。
正に江戸時代のプロジェクトX(エックス)。
華々しい英雄達が活躍するお話が主ではありませんので派手さはありませんが、これはこれで面白いと思います。
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あらすじ、というかざっくりとざっくりとした内容
豊臣秀吉から関東への移封を命じられた徳川家康。
石高で計算すれば約100万石の加増にはなるものの、当時の関東地方は後北条氏を慕う土地柄な上に、湿地ばかり広がるやせた大地。
そして取り上げられたのは徳川由来の地である三河、駿河、遠江、甲斐、信濃。
実質のところ、家康の勢力を恐れた秀吉による関東封じ込め政策だったわけです。
怒り狂う徳川家臣団。中には秀吉との戦をするべきであると叫ぶ者もいたほど。
しかし、家康は秀吉の要求を受け入れ、新都市江戸を作り始める・・・。
感想
「秀吉の命による、家康関東移封」
歴史の教科書では1行で終わる部分ですが、勿論そこにはたくさんの人間が絡む、もの凄いドラマがあるわけで・・。
その部分を丁寧に、深く掘り下げた一冊。
限りなく湿地広がる関東の土地に、飲み水を弾き、貨幣経済を作り上げ、江戸城を建て、最終的には人口100万人が住む都市に作り変えた人々のすさまじい情熱!
まさにロマンですね。
ちなみに当時世界で人口が100万人を超えた都市は世界でも珍しく、江戸は世界一の都市であったという説もあるほど。
極東の島国にもかかわらず、当時世界一の都市があったという事実。
日本人として誇りに思いますね!
また、関ヶ原、大阪冬の陣・夏の陣でなりふり構わず豊臣家を滅亡させた家康の心境も描かれているところも本当に興味深いです。
結果だけを見ると、大阪冬の陣・夏の陣に関しては徳川方の圧勝という風に見えるのですが、実際のところ家康がどれほど豊臣家を恐れていたか・・・、という下りに関しては、稀代の英雄の人間臭さが感じられ、面白かったです。
「人の一生は重荷を負て遠き道をゆくがごとし…」
家康の有名な言葉。
この小説を読むと、より一層この言葉が身に染みるような気がします。
今日のところは、以上!
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