【映画レビュー】鬼滅の刃 無限城編 第一章「猗窩座再来」──タイタニック越えでも“惜しい”理由と無限列車との比較、という話

サラリーマンの独り言

平日の午前中、公開から1か月以上経った『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』を観てきました。
館内は1割ほどの入り。

大ヒット作でありながら、静かな環境でじっくり観られたのはむしろ贅沢な体験でした。

興行収入はタイタニック越えの大ヒット

公開30日で興行収入200億円突破、観客動員は1,500万人超。
あの『タイタニック』を超える記録となり、ニュースでも大きく報じられました。


映画.comの点数も4.1点と高評価。前作『無限列車編』が3.9点だったことを考えると、期待値は最高潮。

ただ、あまりに数字と評価が先行しすぎて、逆にハードルを上げてしまった部分も。

実際に観た率直な感想は「正直、?」というものでした。

泣かせどころが多いのに“惜しい”ポイント

猗窩座の過去

人間時代の悲しい背景を丁寧に描いていた。

ただ時間をかけすぎてちょっとダレたかな・・・。

ここ、もっと省略出来た気がします。

胡蝶しのぶの最期

逆にここは正直、もっと演出で引き立てられたはずです。


しのぶの仇敵・童磨が鬼畜さを抑え気味に描かれていたため、しのぶの無念さが十分に際立たない。

カナエがもっと残虐にやられたという演出にしていたら「絶対に許せない敵」という構図が鮮明になったでしょう。

私はひねくれ者なので(笑)、正直「生死をかけた戦いで負けただけやん。そこで一方的に仇って言われても…」なんて冷めた感想すら浮かびました。
とにかくもう少し“憎悪を引き出す描写”が欲しかったですね。

善逸と獪岳の因縁

元兄弟弟子対決、という分かりやすい構図でしたが、あっさり終わってしまい感情を乗せきれないまま決着。


ここは師匠・桑島慈悟郎を含めた3者の葛藤として描けば、さらに厚みが出たはずです。

兄弟弟子、師匠の葛藤──これは『北斗の拳』以来、ジャンプ作品の王道構図ですし(笑)、もっとドラマチックに膨らませることが可能だったと思います。惜しい!

幕の内弁当的な構成に

プレゼンでよく言われる鉄則に**「1企画1メッセージ」**があります。
今回の映画は「猗窩座」「しのぶ」「善逸vs獪岳」という3つのメインディッシュを一度に盛り込み、結果として幕の内弁当のように豪華だけど散漫になってしまった印象です。

「泣ける要素は多いのに全部惜しい」──これが今回の総評に近いです。

無限列車編と比較して見えた“神作”の理由

皮肉にも今回を観て痛感したのは、**「無限列車編は改めて神作だった」**ということ。


煉獄杏寿郎というメインディッシュを徹底的に描き切り、テーマ曲「炎」も神曲として観客の涙を最高潮まで引き上げました。

もちろんこういったものには「めぐり合わせ」もあります。

はっきり言って運の要素も強いと思います。

そういう意味では無限列車編は持っていた作品、ということになると思います。

映像美は健在

厳しめに書きましたが、映像美はやはり圧巻です。
無限城の背景美術や戦闘シーンの迫力は、スクリーンで観るだけの価値あり。鬼滅シリーズの強みである「映像の美しさ」は健在でした。

総評:面白いけど期待値とのギャップが大きかった

『鬼滅の刃 無限城編 第一章』はファン必見の作品であることに変わりありません。
ただ「タイタニック越えの興行収入」「レビュー高評価」という大きな期待に対して、実際は“惜しい”部分が目立ったのも事実。

胡蝶しのぶの無念さや善逸・獪岳・師匠の葛藤がもっと深く描かれていたら、感情を揺さぶる名場面になっていたでしょう。
次作以降では「泣かせどころを一点集中させたフルコース」を期待したいですね。

今日のところは、以上!

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